災害時も速やかに出荷できる体制づくりに向けて

100年の歴史をもつ和気産業は、これまで幾度となく「災害」を経験してきました。災害は多くの人の命や生活に関わるだけでなく、物流の現場にも大きな影響を与えます。
今回は、福岡事業所の物流に携わって10年という嶋崎さんに、和気産業の災害時の物流の取り組みを紹介してもらいます。

初めての災害は2016年の「熊本地震」

-嶋崎さんが経験した最初の大きな災害は何ですか?

2016年4月14日に起こった熊本地震です。災害関連死も含めて276人が犠牲となった大きな災害でした。九州の多くの得意先が被災し、物流の現場も大混乱でした。私自身、物流に来て初めての経験でしたから、本当に苦労しました。

-災害時の物流の苦労とは具体的に何でしょうか?

平常時の物流の主な仕事は、「仕入れ」と「出荷」です。
しかし災害時には「仕入れ」「出荷」に加え、「運送会社を探す」という3つめの大きな仕事が発生します。

また、

  • ホームセンターからは注文が殺到するも、仕入れられない。
  • たとえ仕入れても、高速道路が通行止めになり、配送できない。
  • 何とか出荷にこぎ着けても、まだ足りないまだ足りないと出荷を続けなくてはならない。

そんな状況が1週間以上続きました。

終わりがみえない作業に、スタッフ全員が疲弊する日々。ただ、あのときの皆のモチベーションは、ただただ「困っている人たちに必要なものを早く届けたい」その一心でした。身近な人が被災したというスタッフも多く、困っている人たちのために一生懸命でした。

毎年のようにやってくる台風。繰り返す災害時の対応とは?

-熊本地震以降の災害には、どういったことがありましたか?

私が福岡で体験した大きな地震は熊本地震だけです。しかし、台風による被害は毎年のように起こっています。

-地震と台風で何か違いはありますか?

いつどこで起こるかわからない地震と違い、台風はある程度の予測は可能です。そのため、計画的に「仕入れ・出荷」ができるという点が大きく異なりますね。
台風予報がでた際は、ホームセンターのバイヤーと和気産業の営業が事前に話し合い対応しています。

ただ、災害時の物資供給ルートの断絶への対応は、地震も台風も同じです。現場でできることは、緊急度の高いものを「緊急物資」として早めに出荷することくらいです。

災害時の社内の連携はバッチリ

-これまでの災害を通して学んだことは何でしょうか?

災害関連の商品を扱っていることの重大さを、身をもって学びました。命に関わるような災害が起こったときに、本当に役立つものをお届けし感謝していただいたことは、仕事をするうえでのモチベーションにもなっています。
災害時に物流の力でお役に立てるよう、日々の物流があるのかも…そんな風に感じることもあります。

-災害時にこそ、和気産業のチカラを発揮できるということですか?

そうですね。
これまでの歴史の中で、災害は日本全国さまざまなところで起こってきました。だから和気産業の社員にとって、災害時の大変さは他人ごとではありません。
災害時の対応を迫られた拠点には、各拠点からの応援人員がすばやく到着します。システムとして構築しているわけではないのですが、自然に集まる体制が整っているといいますか…。
各拠点で扱う機械が同じということもあり、応援が増えても作業はスムーズであるという点も、和気産業の大きな強みかなと感じます。緊急時の和気産業のマンパワーは、今後も大切にしていきたいですね。

和気産業が、サステナビリティの観点から解決したい課題のひとつが、「自然災害による被害」です。

災害、特に地震はいつ起こるかわからず、起こった場合の配送ルートの断絶などは避けられないことです。そんな中でも「いち早い供給」に向けて取り組み続けてきたのが、和気産業の物流です。そのときの経験をその場で終わらせることなく、社内でも共有・蓄積し、次の災害に役立てるよう努力しています。和気産業のマンパワーと共に、今後も存分にそのチカラを発揮し、「災害レジリエンスの高い社会」を目指します。