今では当たりまえ、当時は画期的な、アメリカンスタイルのホームセンター誕生
1972年(昭和47年)12月1日、埼玉県与野市の国道新大宮バイパス沿いに、日本で初めてのアメリカンスタイルの本格的ホームセンター「Do it yourself 1号店」が誕生しました。
当時アメリカではすでに、広大な国土を縦横に生かしたモータリゼーション(※1)の発達を背景に、DIYを新しい産業として確立していました。それにならい、屋内面積1,650㎡、140台の収容が可能な3,300㎡の駐車場を要する大規模郊外店舗で、商品アイテム数は1万2,000点に達しました。
何とその広さながら、従業員は20人ほど。おそらく、集中レジ方式を採用し、現在のようにお客様が店内を回ってお買い物をし1カ所で支払いをするという方式を取り入れたと思われます。
経営は、日之出自動車株式会社(のちのヒノデ株式会社)ストア部。店舗名ドイトは、実はのちの一般募集にてつけられました。「Do it」からきており、「Do it yourself ドイト店」として親しまれるようになります。
※1 モータリゼーションとは
自動車の大衆化にともなう、自動車なしでは生活できない社会の様相。
世間の注目を集めたきっかけは、1973年のオイルショック
当時は郊外型の小売店など、誰も予想できませんでした。広大な敷地面積を要し、大量の商品を抱える、倉庫のような店舗で採算が合うのかどうか、弊社の中でひそかに疑問の声もあがっていたようです。
しかし、開店当初の売れ行きは、それほどかんばしくはなかったものの、徐々に売り上げを伸ばしていったといいます。
そして世間の注目を一気に集めたのは1973年(昭和48年)10月のオイルショックでした。日本中から品物がなくなるという異常なまでのパニック状態が起こる中、ドイト与野店は圧倒的な品揃えに加え、価格のつり上げを一切行わなかったことから、消費者が殺到し爆発的な売り上げを記録します。
ドイト与野店に続き、大型日曜大工店も徐々にオープン
ドイト与野店のオープン前後は、「毎日が開店日」といわれるほど、日曜大工店の開業が続きました。
そんな中、オイルショックで注目を集めたドイト与野店への見学者が増え、取引を行っている弊社が案内役を依頼されることも多くなります。見学者の中には、店舗と比較して広すぎるほどの駐車場、豊富な商品群を見て、一体どこで調達するのか頭をかかえる人もいたよう。
そして、「ドイト与野店」に続くかのように、徐々に大型日曜大工店もオープンしていくのです。
まとめ
日本初のホームセンターとして名前の挙がることが多いのが、「ハウジングランド順天堂駅前店」と「ドイト与野店」です。開店日でいえばハウジングランドのほうが2年早いのですが、現代のホームセンターと同様の形態で開業したのはドイト与野店でした。
当時は画期的なスタイルだった「ドイト与野店」の開業と成功は、やはりDIYの発展に大きく寄与したといえるでしょう。
※弊社社史「和気産業65年の歩み」P118~120より抜粋